はじめに
透析の配管洗浄に用いられる洗浄剤には、どういったことが求められるのか解説していきます。
また透析剤には主剤と副剤があり、どれが主剤なのか、副剤なのか皆さんの施設でも確認してみてください。
透析配管洗浄はシリーズで解説しています。
#1から順にみていくことで、もっと理解が深まりますよ!
透析の洗浄剤に求められる条件
透析洗浄剤に求められる条件は、以下のようなことがあります。
- 除菌
- 有機物(タンパク質など)の洗浄
- 炭酸カルシウム(水垢)の除去
- 洗浄成分の安定性が高い
- 人体に対して無害
- 水で洗い流しやすい(低残留性)
- 装置へのダメージが小さい
- 発泡しない
- 環境にやさしい
1.2.3では、透析液、希釈に使われる水由来の細菌の除菌、患者血液のタンパク質、糖、脂質、炭カルの結晶を取り除くことが求められます。
4.5.6では、洗浄力の発揮、人体への影響を小さく、透析装置稼働時の治療への影響を小さくすることが求められます。
7.8では、家庭用の洗剤のように泡立つものを使用すると、透析配管やフィルター等で目詰まりを起こしてしまうので、これらが起きないことが重要です。
9では、透析洗浄後の排水の質、環境への負担を小さくすることが大切です。
これらを全て満たしている、パーフェクトな洗浄剤は存在しません。
しかし、洗浄剤を組み合わせることによって、お互いが満たしていない条件を補います。
たとえば、次亜塩素酸ナトリウムなら、次の1~9のうち、赤字の所を満たしています
- 除菌
- 有機物(タンパク質など)の洗浄
- 炭酸カルシウム(水垢)の除去
- 洗浄成分の安定性が高い
- 人体に対して無害
- 水で洗い流しやすい(低残留性)
- 装置へのダメージが小さい
- 発泡しない
- 環境にやさしい
主剤と副剤
透析剤には主剤と副剤があります。
- 主剤:除菌作用のある洗浄剤
→ 連日使用する洗浄剤または週のうち多く使う洗浄剤 - 副剤:主剤を補う洗浄剤
→ 週2~3回使われることが多い
では次の場合、主剤と副剤はどっちでしょうか?

この場合、主剤と副剤は、次亜か酢酸どっちでしょうか?
答えは、主剤は次亜で、副剤は酢酸です。
次亜を毎日使用して、週に2回酢酸を使用していますね。
連日使用している次亜が主剤となります。
では、第2問です。
次の場合は主剤と副剤はどっちでしょうか?

これは次亜と過酢酸を1日ごとに使用する、隔日交互使用という方法ですね。

あれっ、連日使用している洗浄剤が主剤って聞いたけど、次亜も過酢酸も3日ずつ使用しているな…なんやねんな…
難問ですね。
正解は、主剤が次亜で、副剤が過酢酸になります。
なぜかというと、火・木・土の方が透析クール数が少ない施設の方が多いからです。
すると火・木・土は、月・水・金に比べて、洗浄を入れる時間が早くなるので、洗浄剤の封入(浸漬)時間が長くなります。

ハイハイハーイ!!!僕のところは毎日2クールやってます!
この場合でも主剤は次亜になります。
なぜかというと、土曜日に次亜が入っているからです。
土曜日に洗浄を入れると、月曜日まで封入していて、他の日よりも封入時間が長いからです。
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