次回のブログ更新は9/29(木)です。内容:現場で使えるダイアライザ使い分けマニュアル

【透析穿刺STEP4】 消毒《4つの消毒剤の特徴》

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穿刺
この記事は約7分で読めます。
  • 消毒剤の特徴が分かる
  • 必要性が分かる
  • 消毒の手順が分かる
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消毒の必要性

消毒は感染予防のために実施します。
消毒を怠ると、シャント感染を起こしてしまいます。

シャント感染を起こすとどうなるか?

  • シャント寿命が短くなる
  • 生命予後を悪化させる

透析患者さんではシャントが無ければ透析ができません。つまりシャントがダメになることは命を脅かすことになります。

とあるデータによると、1000透析アクセスあたり、シャントでは0.1件、グラフトでは1件程度の感染症が発生しているというデータがあります。
つまり、グラフトはAVFの10倍感染しやすいということになりますね。

また、穿刺者も患者さんも消毒を行って穿刺に臨むというのが大切になります。
皮膚常在菌が原因でシャント感染を起こす可能性があるので、シャントを清潔に保つことが必要です。

【シャント感染の記事はコチラ】

消毒薬の種類と特徴

透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(五訂版)

シャント穿刺で用いられる消毒薬は4つです。

  1. CHG:クロルヘキシジングルコン酸塩含有アルコール(0.5%を超えること)
  2. 10%ポビドンヨード
  3. 消毒用エタノール
  4. 70%イソプロパノール

ちなみにポドンヨードじゃなくて正しくはポドンヨードだよ~!

消毒薬に求められる性能として①一般的な細菌に有効速攻性がある ③持続活性(透析終わりまで効果が持続するか)がある
この3つが重要です。

この3つをトータル的に見て最も優れているのはCHG(クロルヘキシジングルコン酸塩)です。
また、消毒の効果を最大限に生かすためには2つが重要です。

①適切な塗布量
②消毒薬が完全に乾燥するまで待つ(各消毒薬の乾燥時間は後で記載)

塗布量が少ないと十分な殺菌効力が期待できなくなる恐れがあります。
また消毒薬を乾燥させる目的は、消毒薬と皮膚との接触時間を十分に保つことで消毒薬の殺菌効力を発揮させます。

ポビドンヨードだと皮膚接触時間(乾燥するまで)が120秒あります。
つまり、2分程度待ってから穿刺するのがベストといえます。

しかし、実際の現場で穿刺業務があわただしいなか、2分の待ち時間はいかに…というのが実際のところですよね。
ポビドンヨード塗って、待てない場合はガーゼでポンポンしてもいいですよ。

①クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)含有アルコール0.5%以上

〔特徴〕
・各ガイドラインで推奨されているため広く使用されており、穿刺時の消毒には最も優れている
・皮膚刺激性が低い
・副作用は少ないが、まれに皮膚炎や発疹を起こす

〔皮膚接触時間〕→つまり塗布してから30秒程度してから穿刺するのが望ましい
約30秒~60秒

〔穿刺時の利便性〕
即効性と持続性があり、穿刺時に利便性が高い

〔透析中の持続活性〕→透析中消毒効果がもつのかということ
殺菌力の持続活性は一番高い

②10%ポビドンヨード

〔特徴〕
・使用頻度は減っているが、日本では使用頻度が高い
皮膚刺激性が低い
・皮膚のタンパク質や汚れ等により効果が減る
・クロルヘキシジン過敏症の場合に用いられる
・副作用は少ないが、まれに皮膚炎や発疹を起こす

〔皮膚接触時間〕
約120秒

〔穿刺時の利便性〕
・即効性がないため、穿刺までの時間を十分に(乾くまでの2分)とる必要がある
・持続性はあるので穿刺時十分な時間がとれる(慌てて刺す必要がない的な意味かな)

〔透析中の持続活性〕
・殺菌力の持続活性はあるが、CHGには劣る
・透析時間中であれば同等の効果が期待できる

③消毒用エタノール

〔特徴〕
・使用頻度は低いが、選択的に用いられる
・殺菌スペクトルはイソプロパノールより広い(エンベロープの有無に係わらず有効)
・皮膚刺激が強い
・組織への浸透力が強く、殺菌速度も速い
・副作用として脱脂作用により肌荒れを起こす

〔皮膚接触時間〕
約30秒

〔穿刺時の利便性〕
即効性が高く、すぐに穿刺可能であるが、手間取ると持続性が低いため殺菌効力は落ちる

〔透析中の持続活性〕
殺菌力の持続活性は低い

④70%イソプロパノール

〔特徴〕
・消毒用エタノールと同様の目的で用いられる
・エンベロープを有しないウイルスを不活化させるには長時間の皮膚接触時間が必要
・消毒用エタノールよりも皮膚刺激が強い
・消毒用エタノールよりも脱脂作用が強く肌荒れを起こしやすい
・消毒用エタノールよりもアルコール臭が強い

〔皮膚接触時間〕
約15秒~30秒

〔穿刺時の利便性〕
即効性が高く、すぐに穿刺可能であるが、手間取ると持続性が低いため殺菌効力は落ちる

〔透析中の持続活性〕
殺菌力の持続活性は低い

使い分け

CHG含有アルコール製剤が消毒薬として最も優れていることになる。

透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(五訂版)

と記載があるように基本はCHG含有アルコールで良いと思います。

しかし、CHG含有アルコールに対して過敏な患者は皮膚が荒れてしまうことがあるので、そういった患者さんにはポビドンヨードに変更が必要です。
皮膚に合わない消毒薬を使うと、乾燥から搔きむしったりして傷ができ、感染の原因になります。

基本的にはCHG含有アルコールとポビドンヨード2種類でOK

  • AVF → CHG含有アルコール
  • AVG → CHG含有アルコール
  • 動脈表在化 → CHG含有アルコール
  • カテ → CHG含有アルコール

カテーテルに関してもガイドラインがあります。

中心静脈カテーテルおよび末梢動脈カテーテル挿入部、ならびにドレッシング交換時の皮膚消毒に0.5%を超えるCHG含有アルコール製剤の使用を推奨

CDC血管カテーテル由来感染予防ガイドライン

しかし消毒剤によってカテーテルの材質を傷める可能性があります。
なので材質によって使い分けることが重要です。

〔カテーテル材質〕
・ポリウレタン:ポビドンヨードを使用(アルコール製剤で劣化するから)
・シリコン:アルコール製剤を使用(ポビドンヨードで劣化するから)

カテ接続部に関しても不適切な消毒薬の使用で、カテ接合部の接着強度が低下するなどの不具合も報告されているので、必ず添付文書や使用説明書を確認してください。

消毒の手順

臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針より

  1. 穿刺前は穿刺部位を含めVA 側の腕全体を十分に観察し、目に見える汚染がないか、痒み、発疹、発赤、腫脹、疼痛などがないかを確認し、穿刺部の消毒を行う。
  2. 一カ所に付き一つ以上の消毒綿を用いる。
  3. 穿刺予定部の中心から外へと円を描く様に塗布する。適切な塗布量を用いること。
  4. 消毒薬を完全に乾燥させ、消毒薬の効果を十分発揮させてから穿刺を行う。

消毒の手順は下図

消毒の手順

消毒剤使用の実際

実際にどのVAにどの消毒剤が使用されているかを行った研究では、最も優れているCHG含有アルコールの使用率は低いという結果が得られた。

(1)AVFの第一選択消毒剤:消毒用エタノール

(2)グラフトの第一選択消毒剤:ポビドンヨード

(3)動脈表在化の第一選択消毒剤:ポビドンヨード

(4)カテーテルの第一選択消毒剤:ポビドンヨード
という結果になった。

AVF第一選択消毒剤の消毒用エタノールを使用している理由は、

  • 感染予防効果があるため
  • 消毒効果が発現するまでの時間が短いため
  • 使いやすいため
  • 以前から使用されているため
  • コストが抑えられるため

などと理由があるが、個人的には「以前から使用されている」という点と、「コストが抑えられる」という点が大きいんじゃないかなぁと思います。

消毒用エタノールはコストがめっちゃ安いです。

病院は古い慣習が残っています。おそらくガイドラインなどを見ておらず昔からこうだからといって、変えない習慣が残っています。
また、病院は経営が命で、どう無駄を省いてコストを抑えるか、節約するかというのが重要となってきます。

なので、コスト面で安価となる消毒用エタノールが用いられている、というのが一番の理由かなぁと考えています。

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