はじめに
血液透析の老廃物除去や電解質の補充、除水には物理的な原理が用いられています。
透析を勉強するにあたって、物質移動の原理は基礎中の基礎です。
血液透析の原理、拡散・限外濾過プラスαで浸透の原理も知っておこうということで3つ紹介します。
透析に置き換えてわかりやすく説明します(^^)
血液透析の原理3つ
- 拡散:老廃物の除去、電解質の補充
- 限外濾過:除水
- 浸透:血管内外の水分移動
透析の老廃物除去や除水は、拡散や濾過のように物理的現象によってなされています。
透析の原理は、半透膜(血液透析の場合はダイアライザー、腹膜透析の場合は自分の腹膜)を介した拡散と限外濾過です。
半透膜とは、ある物質は通過させ、別の物質は通過させない特徴を持った膜のことです。
透析でいうと、老廃物や電解質は半透膜を通過できるけど、白血球や赤血球は通過できないといった意味になります。
①拡散
拡散とは「水溶液中の溶質は濃い方から薄い方に移動して均一になる現象」のことです。
例えると、ティーパックをお湯につけたときに濃さが均一になる原理と一緒です。
透析で言うならば、治療対象となる老廃物・電解質(溶質)は血液中に溶けて体内を流れています。
半透膜を間に挟んで、その片側に血液、反対側に透析液を持ってくると、老廃物・電解質(溶質)は、半透膜を通じて濃度の高いところから低いところに移動します。
これを拡散と言います。
透析に例えると以下のようになります。
- KやP:血液 → 透析液に移動(基本血液の方が濃度が高いので、透析液に移動して排出される)
- CaやHCO3-:透析液 → 血液に移動(基本透析液の方が濃度が高いので、血液に移動して補充される)
透析の物質の排除・補充は拡散の原理によってなされています。
そして、拡散は溶質の濃度差で決まります。
②限外濾過
透析膜の片側の溶液に圧力がかかると、溶液は膜の反対側に押し出されます。
この現象を「限外濾過」といいます。
血液透析の場合、血液側から透析液側に圧力がかかっていて、血液中の水分や塩分が押し出されて、体内にたまった水分などを除去しています。
これを除水といいます。
除水は「限外濾過」という方法で成り立っています。
日常生活で例えるなら、コーヒーフィルターの上にコーヒーの粉末があって、水を注ぐと、コーヒーの液体が抽出されますよね。
これは上から濾過圧がかかっているからです。
濾過と限外濾過の違いはなに?
この違いはなんとなーくわかっていれば大丈夫です。
濾過とは「液体から小さな分子を分離するプロセス」のことを言います。
使用する膜の種類によって「粗濾過」「精密濾過:UF」「限外濾過:UF」「逆浸透:RO」に分かれます。
膜の孔径の大きさで、補足できるものと透過できるものが違うということです。
③浸透
浸透とは「溶媒が溶質濃度の低い部分から高い部分に移動する現象」のことです
透析で言うと、水分(溶媒)は血液と透析液の濃度が同じになるように、濃度の低いところから高いところへ移動します。
ただ、水分(溶媒)は、この物理現象では、逆に透析液から血液中に入ってきてしまうため、濾過をかけて除水をします。
浸透は血管内外の水分移動に関与しています。
除水をして血管内の浸透圧が濃くなると、血管内の濃度を薄めようと、血管外(細胞外液)から水が入ります。(プラズマリフィリング)
これが浸透の原理です。
拡散は「溶質の濃度差」であるのに対し、浸透は「溶媒の濃度差」によって行われます。
「拡散」と「浸透」をもっとわかりやすく!
私たちの身近なところでも「拡散」と「浸透」は行われています!
漬け物を作ったことはありますか?
ぬかの中に野菜を入れ、ぬか漬けができるころには、水分が抜け、味が染みています!
水が抜けるのは「浸透」が起きて、味がしみこむのは「拡散」が起きているからです。
- 水が抜ける「浸透」:野菜の水分がぬかに移動しているから
- 味がしみこむ「拡散」:ぬかの成分が野菜に入り込んでいるから
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