はじめに
透析膜は「合成高分子膜」と「セルロース系膜」の2種類に分かれて、PES膜は合成高分子膜に分類されます。
今回はPES膜について説明していきます。
PES膜の特徴
- PES:ポリエーテルスルホン
- ニプロ株式会社で販売
- PS膜に比べて血小板変動と補体活性化が少ない
- BPAフリー
- PVPが含まれているが、PS膜より少ない
- 日本最大の膜サイズ3.0㎡まである(膜サイズが豊富)
「PS膜」と「PES膜」の親水性部分(SO2)の比率を比べて見ましょう。
- PS膜:15%
- PES膜:26%
PS膜よりもPES膜の方が親水性比率は高いが、そのまま用いるのは疎水性が高いので、PVP(親水化ポリマー)を添加しています
血小板変動、補体活性化
「PS膜に比べて血小板変動と補体活性化が少ない」と先述しました。
これどういう意味か?
透析では血液と透析膜が接触します。すると透析開始して数十分で以下のようなことが起こります。
- 補体が活性化 → 白血球低下
- 血小板が透析膜に粘着 → 血小板数低下
これらが少ないことで生体適合性が良いと言われます。
リップル構造
リップル構造とは、中空糸と中空糸の間に隙間があるので、束の中心まで透析液が浸透する。
この構造のことです。
この構造はメーカーによって呼び方は違ってきます。
- ニプロ:リップル構造
- 旭化成:ウェービング化
- フレゼニウス:3Dマイクロウェーブ構造
ラインナップ
PES膜のダイアライザは以下の10種類です
- PES-Mα eco(Ⅰa型)
- PES-Kα eco(Ⅰa型)
- PES-KGα eco(Ⅰa型)
- PES-Gα eco(Ⅰa型)
- PES-Eα eco(Ⅰa型)
- PES-SGα eco(Ⅱa型)
- PES-SEα eco(Ⅱa型)
- PES-Sα eco(Ⅱa型)
- PES-DSα eco(Ⅱb型)
- PES-Dα eco(Ⅱb型)
非常に多くの種類があります。
PES膜のヘモダイアフィルタは以下の4種類です
- MFX-M eco
- MFX-EW eco
- MFX-SW eco
- MFX-UW eco
ヘモダイアフィルタはこのMFXシリーズが約6割のシェアです。
性能
Ⅰa型はアルブミンの漏出を抑えた透析膜です。
KGαはどこに分布するかわからなかったので、記載しておりません。
上図はヘモダイアフィルタMFXとFIXの比較性能表です。
膜サイズが豊富
MFXは膜サイズ豊富です。
なので状態に応じてこまめに調節できます。
以下、膜サイズです(単位:㎡)
- MFX-M eco:「0.9」「1.1」「1.3」「1.5」「1.7」「1.9」「2.1」「2.5」
- MFX-EW eco:「1.1」「1.3」「1.5」「1.7」「1.9」「2.1」「2.5」
- MFX-EW eco:「1.1」「1.3」「1.5」「1.7」「1.9」「2.1」「2.5」「3.0」
- MFX-UW eco:「1.5」「1.9」「2.1」「2.5」「3.0」
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