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【ダイアライザ】PS膜 ~フレゼニウス社~

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ダイアライザ
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はじめに

透析膜は「合成高分子膜」と「セルロース系膜」の2種類に分かれて、PS膜は合成高分子膜に分類されます。

PS膜は、3社10種類以上の膜が販売されています。

会社によって特色が異なってきます。

今回はフレゼニウス社のPS膜について説明していきます。

  • 「PS膜の特徴」を透析学習塾では動画で学習することができますよ
7分の動画で解説

PS膜の特徴

  • 数が最も多い
  • PVP,BPA含有(PVPアレルギーの懸念)
  • 基本的にシャープな分画特性

PS膜(非対称膜)=シャープな膜です。

ちなみにこのシャープな膜はPS膜以外にも「PES」「PEPA」「ATA」これらはシャープな膜と言われます。

ではシャープな膜とはどういう意味なのか?

シャープな膜とは、Albに相当する分子量6万Da領域での透過を抑制しつつ、分子量1万Da強のβ2-MG領域の透過で高い透過性を有する

こういった膜をシャープな膜と言います。

ちなみにシャープな膜と反対にあるのがブロードな膜です。

均質膜のPMMA膜が該当します。

ではブロードな膜とはどういう意味なのか?

ブロードな膜とは、β2-MG領域の透過性は低いが、分子量5万Da以上の物質の透過性はPS膜よりも高くなっている

こういった膜をブロードな膜と言います。

PS膜の種類

PS膜だけで、3社10種類以上の膜があります。

PS膜の種類

今回はフレゼニウス社(フレゼニウス メディカル ケア ジャパン)のFXシリーズを説明していきます。

フレゼニウス社の透析膜

フレゼニウス社の透析膜

フレゼニウス社のダイアライザは以下の3種類です。

  • FX(Ⅰa型)
  • FX-S(Ⅱa型)
  • FX-CorDiax(Ⅱa型)

そしてヘモダイアフィルタは「FX HDF」の1つです。

日機装はピナファインPNシリーズを出していますが、以下のようにFXと同じものになります。

名前が違うだけです。

  • FX=PN
  • FX-S=PN-S
  • FX-CorDiax=PN-X

使い分け

ダイアライザ3種類の使い分けは以下の通りです。

FX シリーズ(Ⅰa型)

  • Alb漏出を抑え、マイルドな溶質除去性能が必要な患者
  • 透析導入初期、高齢者、お子様、体格の小さな患者
  • 栄養状態の厳しい管理が必要な患者

FX-S シリーズ(Ⅱa型)

  • β2-MGより大きい分子の積極的な除去が必要な患者(Albの漏出は多い)
  • 栄養状態が良好で、体格のよい患者、若年層や就労者

FX-CorDiax シリーズ(Ⅱa型)

  • Albの漏出は抑え、β2-MGまでの中分子量物質は積極的に除去が必要な患者
  • 若年層~高齢層、体格の小さい~大きいまで幅広い

FX-Sがアルブミンが良く抜けるタイプです。

性能

「FX-CorDiax」はFXと比べ、小分子~中分子のクリアランスが向上し、Alb漏出が極端に制限され、よりシャープな膜になっています。

インライン蒸気滅菌

フレゼニウス社の膜は、独自に開発したインライン蒸気滅菌法を実施しています

高圧蒸気滅菌の仲間と思ってもらって構いません。

121℃の蒸気を15分間中空糸の透析液側及び血液側の両方を、同方向の流れで同時に流すといった滅菌方法です。

これによってPVPの溶出低減に努めています。

フレゼニウス社の膜は高圧蒸気滅菌と覚えておきましょう

なんでかというと、ガンマ線滅菌ダイアライザでアレルギー症状が出る患者には、この高圧蒸気滅菌ダイアライザが適応されます。

高圧蒸気滅菌ダイアライザは、現在(2024/2/23時点)は、フレゼニウス社しか販売していません。

その他の特徴

  • 回路の折れ曲がり防止
  • サイドブラッドポート
  • ピナクル構造
  • 小型化と軽量化

一つずつ説明していきます。

【回路の折れ曲がり防止】
フレゼニウスの商品は横側から血液回路が接続できるので、回路の折れ曲がり防止になります。

【サイドブラッドポート】
サイドブラッドポートとは、血流動態改善のための血液側ポート部の螺旋構造のことです。

横方向の血液導入ポートは、均一な血流経路を実現しています。

これによって以下のメリットがあります。

  • ヘッダー領域の低速停滞ゾーンを回避(血液滞留部の減少)
  • 中空糸に流れ込む血液の分散性を高めている

【ピナクル構造】
ピナクル構造により中空糸束の周囲を回って、スリット部分から透析液が全体的に均一かつ強力に、中空糸束の中心部に流れる構造をとっています。

透析液は膜の周囲を回ってしまう偏流(チャネリング)が見られるので、その防止です。

【小型化と軽量化】

低比重のポリプロピレンを採用して小型化軽量化を実現しています。

輸送・保管・廃棄における経済性への貢献もしている製品設計になっています。

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