はじめに
体内の鉄は排泄系が存在せず、生体内でリサイクリング(再利用)されながら存在しています。
今回はどのように鉄が体内で循環しているのかを解説していきます。
鉄=再利用
鉄には独自の排泄系が存在せず、生体内で再利用されています
なので「鉄=再利用」と覚えておくと、理解しやすいです。
鉄は生体内ではほとんど出納のない、半閉鎖回路を形成して循環しています。
鉄の出し入れ(出納)は、健常人でたったの1mg/日です。
では透析患者さんではどうかというと、回路内残血や採血や出血など、これらの影響による失血があり、鉄の喪失が多くなっています。
そのため、出納は負になっています。
一回の血液透析では、数mLの回路内残血が生じます
透析患者の約3mLの血液には、約1mgの鉄が含まれます。
1ヵ月に残血と採血を合わせると、20〜30mgの鉄が失われます。
血液中の鉄は約2,500mgです。
大したことないように思うけど、チリツモってことやな…
鉄代謝で関わるところ(作用点)4つ
鉄のリサイクリング系の鉄代謝ではこの4つが作用してきます。
この4つはめちゃくちゃ大事なので覚えておきましょう!
- 十二指腸上皮細胞(小腸)
- 肝細胞(肝臓)
- 骨髄赤芽球
- 網内系、マクロファージ
この4つを覚えたら、鉄のリサイクリング系を説明していきます。
生体内の鉄代謝(recycling)
では本題に入っていきます。
鉄代謝は上図のように体内の臓器を巡り巡って、リサイクリングされています。
①~⑤の順にみていった方がわかりやすいので、説明していきます。
【①十二指腸上皮細胞(小腸)】
食事中の鉄が消化管で吸収されると、鉄は血清中でTfと結合して全身に運搬されます。
↓
【②骨髄赤芽球】
一部は貯蔵などに回されるが、大部分は骨髄の赤芽球でHbの構成要素として利用されます。
↓
【③網内系、マクロファージ】
赤血球は全身を循環するが、老廃赤血球は脾臓などの網内系で処理され、そこで鉄が取り出されます。
そして再び血液中でTfに結合し、運搬され再利用されます。
↓
【④半閉鎖回路の構築】
体内のほとんどの鉄は血液、骨髄、赤血球、網内系の間でrecyclingされて半閉鎖的回路を形成しています。
↓
【⑤肝細胞(肝臓)】
全身を回るTf結合鉄の量は消化管での吸収か、もしくは網内系での鉄放出の段階で調節されて変化するが、この調節を行うのがヘプシジンです。
この順にグルグル体内を循環しています。
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