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【鉄のリサイクリング系】覚えておきたい4つの作用

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鉄に詳しくなる
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はじめに

体内の鉄は排泄系が存在せず、生体内でリサイクリング(再利用)されながら存在しています。

鉄のリサイクリング系の鉄代謝ではこの4つが作用してきます。

この4つはめちゃくちゃ大事なので覚えておきましょう!

  1. 十二指腸上皮細胞(小腸)
  2. 肝細胞(肝臓)
  3. 骨髄赤芽球
  4. 網内系、マクロファージ

今回はこの1つずつを説明します。

  • 「鉄のリサイクリング系」を動画で学習することができます
12分で解説

生体内の鉄代謝(recycling)

鉄代謝のリサイクリング系

鉄代謝は上図のように体内の臓器を巡り巡って、リサイクリングされています。

①~⑤の順にみていった方がわかりやすいので、説明していきます。

【①十二指腸上皮細胞(小腸)】
食事中の鉄が消化管で吸収されると、鉄は血清中でTfと結合して全身に運搬されます。

【②骨髄赤芽球】
一部は貯蔵などに回されるが、大部分は骨髄の赤芽球でHbの構成要素として利用されます。

【③網内系、マクロファージ】
赤血球は全身を循環するが、老廃赤血球は脾臓などの網内系で処理され、そこで鉄が取り出されます。
そして再び血液中でTfに結合し、運搬され再利用されます。

【④半閉鎖回路の構築】
体内のほとんどの鉄は血液、骨髄、赤血球、網内系の間でrecyclingされて半閉鎖的回路を形成しています。

【⑤肝細胞(肝臓)】
全身を回るTf結合鉄の量は消化管での吸収か、もしくは網内系での鉄放出の段階で調節されて変化するが、この調節を行うのがヘプシジンです。

この順にグルグル体内を循環しています。

十二指腸上皮細胞(小腸)

十二指腸上皮細胞の役割は、鉄を細胞内に取り込み血管に排出させることです。

鉄は食物中から十二指腸上皮細胞で取り込まれます。

「非ヘム鉄」と「ヘム鉄」の経路

鉄は食物中から2種類の経路により、十二指腸上皮細胞で取り込まれます。

その経路は非ヘム鉄ヘム鉄です。

  • 非ヘム鉄(Fe3+):Dcytbディーサイトビー → Fe2+DMT1 → 細胞内
  • ヘム鉄(Fe2+):HCP1 → 細胞内

・ DMT1(ディームティーワン) : Divalent Metal Transporter 1

・ Dcytb(ディーサイトビー) : Duodenum cytochrome b

・ HCP1(エイチシーピーワン) : Heme carrier protein 1

では「非ヘム鉄」と「ヘム鉄」に分けて説明します。

非ヘム鉄

非ヘム鉄が細胞内に取り込まれるには、以下のような経路をたどります

非ヘム鉄(Fe3+):Dcytbディーサイトビー → Fe2+DMT1 → 細胞内

非ヘム鉄はいわゆるイオン鉄です。

まずFe3+をFe2+に還元するためにDcytbを通ります。

その後、Fe2+を細胞内に取り込むためにDMT1を通り、細胞内へと運ばれます。

その後フェリチン(Ftn)として蓄えられるものと、血液中へと運ばれるものに分かれます。

ヘム鉄

ヘム鉄が細胞内に取り込まれるには、以下のような経路をたどります

  • ヘム鉄(Fe2+):HCP1 → 細胞内

ヘム鉄はHCP1により上皮細胞内に吸収され、heme oxygeneseヘムオキシゲナーゼにより鉄が取り出され、フェリチン(Ftn)として蓄えられます。

貯蔵された鉄は必要に応じて鉄イオン(Fe2+)になった後、フェロポーチン1(FP1)により血管腔に汲みだされます。

直ぐにヘファスチンにより酸化された後(Fe3+)、Tfに結合し各種臓器に運搬されます

FP1とは、鉄を細胞外へ汲みだす唯一の機構です。

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」

通常「ヘム鉄」の方が「非ヘム鉄」より5~6倍の吸収率があるが、鉄分不足状態では「非ヘム鉄」の吸収率が圧倒的に高い

※ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC291114/?page=4

肝細胞

肝細胞の役割は、鉄をフェリチンとして貯蔵することです

TfR(トランスフェリンレセプター)によってトランスフェリン結合鉄が肝細胞に取り込まれ、フェリチンとして貯蔵されます。

そして、必要に応じてFP1から汲み出され、Tfに受け渡されます。

また肝臓からは鉄調節ペプチドであるヘプシジンが産生、分泌されます。

このヘプシジンは鉄の吸収を調節しています。

炎症下では細胞内から細胞外への、鉄の汲みだしを阻害すると考えられているのが、このヘプシジンです。

TfR(トランスフェリンレセプター)ってなに?

TfRは、トランスフェリン(Tf)と結合した鉄を細胞内に取り込むための細胞膜構造です。

骨髄赤芽球

骨髄赤芽球の役割は、Hb合成に働くことです

骨髄赤芽球では、血中からTfRによりトランスフェリン鉄が取り込まれ、Hbが合成されます。

老化した赤血球は網内系に貪食され、Hb鉄は再利用されます。

網内系、マクロファージ

網内系には以下のような役割があります。

  • 老化赤血球を処理する
  • そこから鉄を取り出して再利用する

網内系の貪食細胞は老化赤血球を貪食します。

そして、ヘムオキシゲナーゼの作用によって鉄を回収し、フェリチンとして蓄えられます。

それから必要に応じてFP1から汲み出され、Tfに受け渡され再利用されます。

網内ってなに?

網内系とは全身に散在し、貪食能と共通の細胞形態を示す間葉系細胞の総称です

外界からの異物や細菌を貪食してくれるフィルタの役割があり、単球マクロファージといった貪食細胞が存在しています。

網内系は以下のような、体内の至る所に存在します

  • リンパ節のリンパ洞、扁桃
  • 脾臓の静脈洞
  • 肝クッパー細胞
  • 脳ミクログリア
  • 肺胞マクロファージ
  • 腎糸球体内のメサンギウム などなど

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