はじめに
セプザイリスは近年CHDFに良く使用されている透析膜です。
高いサイトカイン吸着が期待され、非常に多く用いられている持続透析膜です。
今日はその優秀な膜AN69ST膜(セプザイリス)について深堀りしていきましょう!
AN69ST膜(セプザイリス)ってなに?

セプザイリスはAN69ST膜からなる持続緩徐式血液濾過膜の製品名です。
バクスター株式会社で販売しています。
ちなみにSTは「Surface Treated」の略です。
AN69膜にポリエチレンイミンを表面加工させたものです。
この表面加工は膜の厚み全体(バルク層)の陰性荷電をそのまま保ち、血液と接する膜内表面のゼータ電位を低下させます。
その結果、膜内表面と血液との接触によるブラジキニンの産生を減少させます。
さらに、使用前にヘパリン生食でプライミングすることにより、膜表面がヘパリン化コーティングされると言われています。
しかし、無抗凝固での膜寿命についてAN69膜やPS膜と比較した研究では、ヘパリン化コーティングされたAN69膜STの優位性は示されませんでした。
あくまで理論上ヘパリンを吸着する機能が向上します。
AN69ST膜はAN69膜と同じで、水分含有率70%のハイドロゲル構造をとっています。
つまり高い親水性があるということです。
保険、使用目的
セプザイリスは重症敗血症および敗血症性ショックを適応疾患として2014年に保険収載されました。
なので、敗血症患者でのサイトカイン吸着による効果を期待して使用されています。
〔目的〕
数時間ないし数日間にわたり持続的に血液濾過を行うことにより、血液中の尿毒物質、その他の有害物質の除去、および血液中の水分、電解質を緩徐に除去・調整、更にサイトカインを吸着除去し、病態の改善をはかることを目的とする。
AN69ST膜によるサイトカイン吸着機序
AN69ST膜はAN69膜と同じで強い陰性荷電のバルク層を有するハイドロゲル膜です。
サイトカインとの吸着機序は、膜の陰性荷電(スルホネート基)とサイトカインのアミノ基(陽性荷電)とのイオン結合です。
陰性荷電と陽性荷電が吸着することによってサイトカインを除去しています。
今後の展望
敗血症に対し、セプザイリスを用いた研究が少ないうえに、動物実験やin vitroでの研究が主体です。
予後改善を研究した明確な信頼度の高い試験が存在していないみたいです。
また、当初期待されていた凝固しにくい膜という特性も否定されているみたいですね。
セプザイリスは価格が高いので、今後施設がどういう風に導入していくのか、そして効果を証明する無作為試験がどれだけ出てくるかといったところも期待です。
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