はじめに
透析中の低血圧がある方はアルブミン製剤を使用することがあります。
アルブミン製剤も等張液があったり高張液があったり…
ほかの施設はどんな風にしてるの?など、解説していきます。
なぜアルブミン製剤を使用する?
透析中の低血圧を回避する目的でアルブミン製剤が使用されることがあります
血管内の膠質浸透圧が高くなって、血管内に水分を引き付けてくれます。
透析患者では除水を必要とします。
しかし低アルブミン血症や心機能が低下している患者では、プラズマリフィリングが遅くなったり血圧を上昇させる代償機能が働かず、血圧低下を起こします。
そこでアルブミン製剤を使用し、膠質浸透圧を高くします。
そうすることで、間質液から血管内の水分移動(プラズマリフィリング)を促進し、血圧を維持する働きがあります。
各病態での低アルブミン血症におけるアルブミン投与の目標値を2.0~2.5g/dLとするガイドラインはあります。
しかし、アルブミン投与に明確なトリガー値はないというのが現状です。
つまりアルブミン製剤の投与は病態などを評価し、各々の施設の裁量に任せられます
また、透析中のアルブミン製剤を投与する場合はVチャンバ(またはV回路のどこか)から投与します。
エアー針を忘れないように!(下図)
投与スピードは、高張液50mLでは30分で落としていました(100mL/hr)。
皆さんはどのくらいのスピードでしたか?
参考:科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(第2版)
アルブミン製剤使用のガイドライン
では透析中でのアルブミン製剤使用について、ガイドライン上ではどうなっているのか?
結論、推奨はされていません
CQ5 循環動態が不安定な血液透析等の体外循環施行時のアルブミン使用は有効か?
参考:科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(第2版)
アルブミンは有効であるが、第1選択は生理食塩水となる。降圧薬の調整、血管作動薬の使用や持続透析などで対応しうる。
となっています。
- 推奨のグレードは「2」:弱く推奨する
- エビデンスの強さ「C」(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である
つまり、循環動態が不安定な(たとえば糖尿病患者における)血液透析等の体外循環施行時の等張アルブミン使用は原則として推奨されない(使用しないことについての弱い推奨 2C)
という結果になりました。
ガイドラインの答えからいくと、アルブミン製剤使う前に生食で調整してな。
って感じです。
アルブミン製剤アンケート
高張液と等張液どちらを使っているんだろうと疑問に思い、TwitterとInstagramでアンケートとってみました。
総評数は500票くらいでした。
といった結果になり、高張液が50%でした。
状態に応じて使い分ける場合では、急性期と維持透析で使い分けるみたいですね。
今回は維持透析の勤務の方がほとんどだったので、高張液が多かったのかなと思いました。
高張液と等張液の使い分け
透析ではほとんど(というか主流)は高張液だと思います。
等張液と高張液の使い分けを下記に記載します。
高張液
高張液(20%および25%)アルブミン製剤は、血漿の膠質浸透圧の約4~5倍の製剤で、膠質浸透圧の改善のために使用されます。
使用例は下記のとおりです。
- 肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療
- 難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群
- 凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法(希釈使用)
- 低タンパク血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合
等張液
等張液(5%)アルブミン製剤は、血漿の膠質浸透圧と等張の製剤で、循環血漿量の補充のために使用されます。
使用例は下記のとおりです。
- 出血性ショック
- 敗血症
- 人工心肺を使用する心臓手術
- 循環動態が不安定な体外循環実施時
- 凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
- 重症熱傷
- 循環血漿量の著明な減少を伴う急性膵炎など
- 妊娠高血圧症候群
- 他の血漿増量剤が適応とならない病態
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