はじめに
透析では、除水やダイアライザーとの接触によって影響を受け、検査項目が変動したりします。
例えば、Hbは透析前より透析後の方が(一般的に)、数値が高くなります。
これは除水による影響を受けるためです。
こういった影響を受ける検査項目をまとめました。
赤血球・Hb・Ht・Na・総蛋白(TP)・アルブミン(Alb)
これらの項目は、透析前より透析後の方が数値が上昇していることが多いです。
なぜかというと、除水による影響を受けるからです。
除水をすると血液が濃くなる(濃縮する)ので、透析後の方が数値が上昇します。
すると、相対的に濃度が濃くなります。
透析前より透析後の方が数値が低くなっているとしたら、水分過剰の状態が疑われます。
【参考記事はコチラ】
白血球(WBC)
白血球は透析開始30分頃をピークに減少し、終了時にかけて増加します。
なんなら、終了時では開始時より高く示すこともあります。
なぜ白血球は透析開始直後に減少するのか?
それは、「肺の毛細血管に一時的に白血球が停滞するから」です。
ダイアライザに血液が接触すると補体が活性化し、白血球は肺の毛細血管に停留します。
その結果、末梢血の白血球が減少します。
ではなぜ透析終了時に増加傾向を示すのか?
- 肺の毛細血管に停滞していた白血球が血中に再び流出されるため
- 活性化された補体の作用で骨髄から白血球が動員されるため
【白血球の参考記事はコチラです】
血小板(Plt)
血小板は、透析開始後数10分で低下し、終了時には回復します。
ではなぜ血小板は、透析開始数10分で低下するのか?
「血小板がダイアライザーに粘着する」からです。
ダイアライザと接触して活性化された血小板は、体内で除去されます。
【血小板の参考記事はコチラです】
尿素窒素(BUN)
BUNはリバウンド現象によって、透析が終了して30分間は急速に上昇します。
リバウンド現象ってなに?
リバウンド現象とは、透析終了してから血中の溶質濃度が急速に上昇する現象のことです。
なぜこのような現象が起こるのかというと、透析を終了すると、溶質は細胞内から細胞外(血管)に移動するためです。
BUNは細胞内外に均一に分布して自由に移動します。
しかし、透析終了してから30 分後までは、一過性のリバウンドがみられます。
【BUNの参考記事はコチラです】
リン(P)
リンは透析終了して、 30 分後から血中濃度が上昇し始めます。
透析終了してから2時間後のリンは、透析終了時よりも30%程度高くなっています。
リンは細胞内に多い物質なので、リバウンド現象が起きやすいです。
【リンの参考記事はコチラです】
カリウム(K)
Kも、リンやBUN同じで透析終了してから、30分後から血中濃度が上昇します。
Kも細胞内に多い物質です。
また、Kは透析中にpHの影響を受けるのも特徴です。
透析中にpHの影響を受けるとはどういう意味か?
血中K値は、pHの影響を受けます。
アシドーシスになると、水素イオンが細胞内に入る代わりに、Kが細胞外に排泄されます。
これによってpHが0.1下がるとKは0.6mEq/L上がると言われています。
透析患者は、代謝性アシドーシスの状態になります。
先ほどの説明とは逆で、透析患者ではアシドーシスが是正されていきます。
アシドーシスが補正されると(pHが上がると)、Kは急速に細胞内に戻るのでKは低下します。
透析患者はアシドーシスの状態(pHが低い状態)にあって、透析液によりpHが補正されpHが上がります。
これによって、Kの血中濃度は下がります。
つまり、Kは拡散による除去量とは無関係に、低下します。
【Kの参考記事はコチラです】
炎症性サイトカイン・腫瘍壊死因子(TNF-α)
これらの炎症マーカーは透析中に上昇します。
しかし、どの程度の上昇なのかは、はっきりした数値は分かりません。
(はっきりした数値が明記されているものがあれば教えてくださいm(__)m)
透析では、透析膜に血液が接触します。
すると、炎症マーカーが亢進するので、上昇します。
また、透析液の清浄度が保たれていないと、同じように炎症マーカーが反応します。
【関連記事はコチラ】
コメント