毎週月曜更新!次回のブログ更新は9/16(月)内容:なぜ透析中に低血圧が起こる?

IDPN(透析中高エネルギー輸液)ってなに?

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はじめに

IDPNとは、透析患者が透析中に投与する高エネルギー輸液のことです。

透析患者特有の静脈栄養法であり、重度低栄養な方に投与されます。

どういった特徴があるのか見てきましょう!

  • 「IDPN(透析中高エネルギー輸液)」をコチラでもっとわかりやすく解説してますよ。
7分で解説

IDPNってなに?

  • intradialytic:透析中
  • parenteral:非経口
  • nutrition:栄養

IDPNとは「透析中高エネルギー輸液」と訳されます。

透析中に輸液ポンプを用いて、血液回路V側から高エネルギー輸液を投与する方法です。

透析患者特有の静脈栄養法で、比較的短時間で高濃度の成分を投与することができます。

血糖値とTG値(トリグリセライド)の上昇に注意が必要です。

シャントは血流量が多いので、高濃度の輸液も可能になります。

  • 末梢静脈栄養 → 高浸透圧は血管の炎症を起こすのでNG
  • 中心静脈栄養 → カテーテル感染の危険性があるのでNG
  • シャント → 血流量が多く、機能的に中心静脈と同様になるので、高濃度の輸液ができる

適応

IDPNの適応は前提として重度低栄養の人です。

流れは以下の通りです。

重度低栄養

食事の経口摂取不可(>20kcal/kg/day)

経口補助食品(ONS)摂取不可

IDPN

IDPNは十分な栄養補充にはなりません。

長期で続く場合は、経腸栄養を考慮する必要があります。

腎不全用アミノ酸注射液

透析患者では「ネオアミュー」と「キドミン」よくこの2つが用いられています。

私の感覚的にはキドミンが多いかなって印象です。

腎不全用アミノ酸製剤とアミノ酸製剤の比較

1袋(200mL)当たり
腎不全用アミノ酸製剤アミノ酸製剤
ネオアミューキドミンアミパレン
アミノ酸量(含有率)12.2g(5.9%)14.4g(7.2%)20.0g(10%)
アルギニン量(含有率)0.6g(4.9%)0.9g(6.3%)2.1g(10.5%)
BCAA量(含有率)5.0g(41.0%)6.6g(45.8%)6.0g(30.0%)
必須アミノ酸/非必須アミノ酸の比率3.212.61.44
腎不全用アミノ酸製剤とアミノ酸製剤の比較

上の表を見てわかるように、腎不全用アミノ酸製剤はアミノ酸製剤に比べて、アミノ酸、アルギニン量は少なく、BCAA量は多いです。

※ BCAA:分岐鎖アミノ酸

つまり、酸腎不全用アミノ酸製剤は、アミノ酸が少なくてBCAAを強化している。

ネオアミューとキドミンの共通点4つ

  1. アミノ酸が少ない
  2. アルギニンが少ない
  3. BCAAが多い
  4. 必須アミノ酸の割合が多い

基本的にネオアミューもキドミンも似たような製剤で、違いはほぼありません。

上記のような特徴があります。

簡単にですが説明していきます。

1.アミノ酸が少ない

アンモニア解毒の流れ(尿素回路)

透析患者はアミノ酸の代謝物である尿素の排泄が低下し、高窒素血症や尿毒症のリスクが高い状態です。

なので、腎不全用アミノ酸製剤はアミノ酸量を少なくしています。

過度なアミノ酸の補充は、BUNが高くなりすぎてしまうからです。

2.アルギニンが少ない

尿素回路を詳しく見ていくと…

アルギニンは、アンモニアを尿素へ変換する尿素回路に必要な基質です。

アルギニンが多いとBUNを上昇させてしまいます。

アンモニアは上図の工程を経て尿素に変わります。

つまり、アルギニンが多いと、BUNが増えてしまうということです。

全体のアミノ酸量を均等に下げるのではなく、BUN上昇の寄与度が高い成分をより低下させています。

3.BCAAが多い

分岐鎖アミノ酸 : BCAA(branched-chain amino acids)

腎不全用アミノ酸製剤の目的でもある、栄養状態の悪化を防ぐためです。

BCAAは以下の3つです。

  1. バリン(Val)
  2. ロイシン(Leu)
  3. イソロイシン(lle)

4.必須アミノ酸の割合が多い

これの理由は以下の2つです。

  1. 生体では作られないから
  2. より必要性が高いから

不足しがちなタンパクを補い、栄養状態の悪化を防ぎます。

まとめ

腎不全用アミノ酸製剤を簡単にまとめると…

BUNの上昇を抑えるためにタンパク質を減らしたい

でも…

筋タンパクの分解が進むのも防ぎたい

こういった相反する要望に応えた製剤です。

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