はじめに
IDPNとは、透析患者が透析中に投与する高エネルギー輸液のことです。
透析患者特有の静脈栄養法であり、重度低栄養な方に投与されます。
どういった特徴があるのか見てきましょう!
IDPNってなに?
- intradialytic:透析中
- parenteral:非経口
- nutrition:栄養
IDPNとは「透析中高エネルギー輸液」と訳されます。
透析中に輸液ポンプを用いて、血液回路V側から高エネルギー輸液を投与する方法です。
透析患者特有の静脈栄養法で、比較的短時間で高濃度の成分を投与することができます。
血糖値とTG値(トリグリセライド)の上昇に注意が必要です。
シャントは血流量が多いので、高濃度の輸液も可能になります。
- 末梢静脈栄養 → 高浸透圧は血管の炎症を起こすのでNG
- 中心静脈栄養 → カテーテル感染の危険性があるのでNG
- シャント → 血流量が多く、機能的に中心静脈と同様になるので、高濃度の輸液ができる
適応
IDPNの適応は前提として重度低栄養の人です。
流れは以下の通りです。
重度低栄養
↓
食事の経口摂取不可(>20kcal/kg/day)
↓
経口補助食品(ONS)摂取不可
↓
IDPN
IDPNは十分な栄養補充にはなりません。
長期で続く場合は、経腸栄養を考慮する必要があります。
腎不全用アミノ酸注射液
透析患者では「ネオアミュー」と「キドミン」よくこの2つが用いられています。
私の感覚的にはキドミンが多いかなって印象です。
腎不全用アミノ酸製剤とアミノ酸製剤の比較
1袋(200mL)当たり | |||
腎不全用アミノ酸製剤 | アミノ酸製剤 | ||
ネオアミュー | キドミン | アミパレン | |
アミノ酸量(含有率) | 12.2g(5.9%) | 14.4g(7.2%) | 20.0g(10%) |
アルギニン量(含有率) | 0.6g(4.9%) | 0.9g(6.3%) | 2.1g(10.5%) |
BCAA量(含有率) | 5.0g(41.0%) | 6.6g(45.8%) | 6.0g(30.0%) |
必須アミノ酸/非必須アミノ酸の比率 | 3.21 | 2.6 | 1.44 |
上の表を見てわかるように、腎不全用アミノ酸製剤はアミノ酸製剤に比べて、アミノ酸、アルギニン量は少なく、BCAA量は多いです。
※ BCAA:分岐鎖アミノ酸
つまり、酸腎不全用アミノ酸製剤は、アミノ酸が少なくてBCAAを強化している。
ネオアミューとキドミンの共通点4つ
- アミノ酸が少ない
- アルギニンが少ない
- BCAAが多い
- 必須アミノ酸の割合が多い
基本的にネオアミューもキドミンも似たような製剤で、違いはほぼありません。
上記のような特徴があります。
簡単にですが説明していきます。
1.アミノ酸が少ない
透析患者はアミノ酸の代謝物である尿素の排泄が低下し、高窒素血症や尿毒症のリスクが高い状態です。
なので、腎不全用アミノ酸製剤はアミノ酸量を少なくしています。
過度なアミノ酸の補充は、BUNが高くなりすぎてしまうからです。
2.アルギニンが少ない
アルギニンは、アンモニアを尿素へ変換する尿素回路に必要な基質です。
アルギニンが多いとBUNを上昇させてしまいます。
アンモニアは上図の工程を経て尿素に変わります。
つまり、アルギニンが多いと、BUNが増えてしまうということです。
全体のアミノ酸量を均等に下げるのではなく、BUN上昇の寄与度が高い成分をより低下させています。
3.BCAAが多い
分岐鎖アミノ酸 : BCAA(branched-chain amino acids)
腎不全用アミノ酸製剤の目的でもある、栄養状態の悪化を防ぐためです。
BCAAは以下の3つです。
- バリン(Val)
- ロイシン(Leu)
- イソロイシン(lle)
4.必須アミノ酸の割合が多い
これの理由は以下の2つです。
- 生体では作られないから
- より必要性が高いから
不足しがちなタンパクを補い、栄養状態の悪化を防ぎます。
まとめ
腎不全用アミノ酸製剤を簡単にまとめると…
BUNの上昇を抑えるためにタンパク質を減らしたい
でも…
筋タンパクの分解が進むのも防ぎたい
こういった相反する要望に応えた製剤です。
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