はじめに
透析は以下のようなアラームがあります。
- 静脈圧:静脈(V)チャンバにかかる圧力
- 動脈圧:動脈(A)チャンバにかかる圧力
- 透析液圧:膜の透析液側に流れる圧力
- TMP:透析膜の中空糸に加わる圧力
今回は赤字の動脈圧について解説していきます。
動脈圧を測定している施設はどのくらいあるんだろう…?
動脈圧なくてもいんじゃね?といった声も聴こえますが、一応トラブル対処で優位に働いたりもします。
ここも後にまとめています。
動脈圧ってなに?

動脈圧とは上図のように、Aチャンバに加わる圧力のことです
Aチャンバで測定しているので、透析膜の入り口を間接的に反映しています。
透析中の圧力変動が一番大きいのもAチャンバになります。
(実際の透析開始から透析終了までの、Aチャンバの値があれば載せていこうと思ってます)
HDでも(条件により異なりますが)200は越えてきますし、HDFであれば300も超えてきます。
正常値はいくらですか?といったご質問も過去にいただいたことがありますが、私は特にないと思ってます。
「ない」というか、透析治療をしててこの条件だったらこのくらいまでだろうな、という、常識と経験範囲の中でおさまっていればいいのかなと思ってます。
明らか高い、明らか低い、静脈圧と相互的に見たときになんか変、などの違和感があれば異常が起こっているかもしれません。
う~ん、ここら辺は経験かもしれません(うまくまとまらなくてすみません)
動脈圧の存在意義
基本的に静脈圧が回路全体の圧力を反映しているので、動脈圧は無くても透析は全然できます。
実際に動脈圧を測定していない施設は結構あります(ここはインスタやTwitterでアンケートとってみます)
しかし動脈圧があることで、閉塞場所や異常場所の特定が早くなるといった利点もありますよ
これはどういうことか?
下図を見てみましょう。

(図1の解説)
動脈圧を測定していないと、図1のバツ印の2つの箇所で閉塞が起きていた場合、静脈圧が下がりますよね
(動脈圧を測定していない施設では、まぁ当たり前なことですよね)
感覚でいえば、アラームが鳴って見てみたら静脈圧低下が鳴ってて、その場合図1の緑の線のとこに閉塞があるのかなと予想して対処する。
といった感じですよね。
これが動脈圧を測定していると、下図のように閉塞場所や異常場所の特定が早くなります。

(図2の説明)
動脈圧を測定していると、静脈圧と動脈圧の関係は以下のようになります。
- ①が閉塞していた場合:静脈圧↓ + 動脈圧↓
- ②が閉塞していた場合:静脈圧↓ + 動脈圧↑
となります。
アラームが鳴ってパッとコンソール画面を見たときに、
「静脈圧↓ + 動脈圧↓」になっていたら、A穿刺部からAチャンバまでに閉塞などのトラブルがあるのかな
と予想を立てることができます。
逆に「静脈圧↓ + 動脈圧↑」になっていたら、AチャンバからVチャンバまでの間に閉塞があるのかな
と予想を立てることができます。
これができることによって、トラブル対処が早くなります。
トラブル対処が早くなることによって以下につながります。
- トラブルの復旧が早くなり、残血を防ぐことができる
- 患者さんの不安を軽減することができる
- スタッフからも信頼される
動脈圧は必要か?(個人的な意見)
動脈圧は必要か?といったところなんですけども、これには意見が分かれるかもしれません。
私は個人的に、あってもなくてもどっちで良いです!!!
動脈圧が「ある」場合と、「無い」場合のメリット・デメリット的な?のをまとめてみました。
【動脈圧がある場合】
- トラブル箇所の特定が早くなる
- 監視箇所が多くなることで、トラブルを未然に防ぐことができる
- 逆に監視箇所が多くなることで、アラームが頻発し機械がよく止まったりする
- それによる残血や、除水時間や透析時間の延長(数分程度)につながることがある
動脈圧が無い場合では、ある場合の反対ではあるんですけども…
【動脈圧が無い場合】
- アラームの頻度を少なくすることができる
- トラブル箇所の特定はやや遅れる(かもしれない)
といったようにどちらを選ぶかは個人次第、病院の方針次第になるとは思います。
動脈圧は透析液圧とも関わりがあります。
その続きは透析学習塾で解説しています。
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